わたしがにっこりと笑って「ねぇ、どっちがいい?」と聞くと制服姿の少女は怯えながら首を横に振った。

「答えてよ」

そういって椅子に縛り付けられている少女の首に抱きつくと、少女の体の震えは一層酷くなった。
少女は怖くて言葉が話せないらしかった。冷や汗をだらだらと零して、目を大きく見開いてこっちの一挙一動にびくびくしている。

「答えられないなら、両方やっちゃうよ?」

わたしは笑顔を崩さずに、いう。少女の首から手を離して、少女とおそろいの制服のポケットからバタフライナイフを取り出して、笑う。

「いっ、いやぁ…っ」

泣きながら首を横に振る少女。

「うるさーい。もう遅いのーっ。さっき答えてくれなかったでしょ?わたし、両方やるって決めちゃったもの」

親指で少女の涙を拭ってあげると、少女は「お願い、やめて、お願いお願いお願い」と折角涙を拭ってあげたのに再び大量の涙を流した。

「うるさいなぁ。静かにしないと口塞いじゃうよ?」

人差し指を立てて少女の唇にあてる。少女は体を震わせながらも、いわれた通りに唇をしっかりと結んだ。わたしは「いい子いい子」と少女の頭を撫でる。次に左手にもってたバタフライナイフで、少女の首をきりつける。殺すつもりはさらさらないので、軽く、血が流れるぐらいに軽くきりつける。首をぐるっときりつけていくと、少女の首はまるで首輪でもつけているかのように赤く染まった。でも直ぐに血が肌をつたっていったため、首輪に見えたのは少しの間だけだった。そんな少女の姿をみて、わたしの後ろにいる観客たちが息を呑む音が聞こえた。「次は腕」そういって次に、少女の両腕をジグザグに切りつけていく。今後は首よりも少しだけ深くきりつけた。「足もやろっか」わたしはそういって少女の顔を覗き込む。少女は涙を流しながら、わたしを睨みつけた。
「その目、きらい。苛々する」とわたしはいって、少女のスカートを勢いよく捲り上げる。少女はびくっと動いたけれど、椅子に縛り付けられているため抵抗はできない。露になった少女の気持ちよさそうな、白い両ももをわたしは右手で優しく撫で、ナイフを持つ左手で腕と同じようにジグザグにきりつけた。
「そろそろ、いいかな」
わたしは後ろを向いて、いう。後ろにいた大勢の観客達が順番に席をたって、少女とわたしを円の中心にするように取り囲んだ。わたしは少女に向き直り、目隠しをつける。目隠しをつける理由は単純で、少女により深い恐怖感を与えるためである。少女はびくびくと震えだす。スカートは捲くれたままである。
「どうぞ」
少女の隣にたって、わたしが周りを見渡しながらいうと、観客達は二人ずつ順番に少女に近づきだした。
首から流れる血を、太ももから流れる血を、舐めるためだ。観客達はゆっくりと、時間をかけて少女を観察し、少女に手を加えていく。ある者は少女のワイシャツをナイフできりつけたし、ある者は少女を鈍器で殴った。
少女の体はびくびくと震えだし、不快感からか途中一度だけ「おぇ」と胃の中のものを吐き出した。
その後も色々な行為は続き、終わったときには何故か少女の口の周りはべたべたになっていた。
「もういいですね?」わたしは喋りだす。

「この子にいくら出す?」

観客達は次々と金額を口にする。跳ね上がっていく金額。最終金額は六万円だった。
わたしはその観客から六万円を受け取り「じゃあ、今日はこの辺でお開きね」といってそのほかの観客を追い出す。わたしもこの部屋を出ようとドアのところまでいって、立ち止まる。
後ろを振り向いて、椅子に縛り付けられたままぐったりとしている少女とその傍らに立っている男をみる。

「殺さない程度にしてね?」
「ああ、わかってる」

男はそういって笑った。わたしは「わかってるならいいわ」といってドアを閉めた。
暗い路地裏を一人で歩きながら、鼻歌を歌う。
少女があのあとどんな扱いを受けるのか、わたしにはわからない。いや、予想することは出来るけれど、恐らく、少女はあの男にわたしが予想する以上の酷い、というか非道徳的な扱いを受けるだろう。

「ああ、でも自業自得よね」

わたしは呟いて、来た道を振り返る。

「だってあの子が先にわたしを傷つけたんだもの」


可愛いから、って理由でいじめられて、いたぶられて。
ある日突然、反撃をする。
今まで楽しそうな顔をしていた人が泣きながら助けを求めてくる姿は素敵。
もっと、もっといじめて。そのぶん反撃の甲斐があるから。


麻薬乱用
(やってはいけないことと、わかっているんだけれど)



(終わり!)(三本立てにする予定)(頑張ります)2007/10/30















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