彼はテレビに向かって大声で叫びます。
周りの人たちは迷惑そうに彼をみます。
テレビには今をときめく有名モデルやアイドルたちが映っています。

「つまんねんだよ!ひっこめぶすが!!」

彼は大声で叫びます。
けれどテレビの中のかっこいい青年やかわいい少女たちにその言葉は届きません。
それは当たり前のことでした。当たり前のことでしたが、彼はそのことが酷く頭にきて床を思い切り踏みつけました。

「きったねー顔みせてんじゃねぇよかす!」

そこまで叫んだ彼はテレビを叩こうと大きく手を振り上げました。その瞬間、後ろから二人の店員によって取り押さえられました。これも当たり前のことです。だって、彼は某大手有名電気屋のテレビ売り場で叫んでいたのですから。
彼は触るな放せと暴れたあげく、テレビ2台の画面とドライヤー3つ、それに大きな商品棚を破壊しました。しかしこれは彼の意思ではなく、たまたま暴れたときに彼の手足が当たってしまい、仕方なく壊れてしまったのです。けれど、まぁ、なんというか、彼が壊してしまったのは変えようのない事実であり、そこに間違いはありませんでした。
結局彼は店員二人に店内奥にある事務室まで連れて行かれました。
彼は椅子に縛り付けられ、目の前には警察とその店の最高責任者の人がいます。
彼は「お前らさえいなければ!お前らさえいなければ!」
と大声で叫びました。



お前がいなけりゃ今頃俺は
(もっと偉くて、もっと金持ちになれたはずなのに)



(終わり!)(ただの負け惜しみ)(世間に対する恨み辛み)2007/11/24










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