これは六年前の話です。 数学のテストが返って来ました。満点でした。返すときに、先生が「すごいな、青丹は満点かー」と言って返してくれました。私は嬉しくなって笑顔で先生のところまで駆けていきました。テストをもらって席に着いて、それからずっと先生の言葉に耳を傾けていました。私の他にはもう一人だけ満点の人がいました。私の好きな人でした。それから先生が「じゃあ休み時間ー」と言って教室を出て行きました。すると皆がテストの解らなかったところを一斉に話し合いだしました。私はずっと席にいました。なぜなら私は満点で、解らないところがなかったからでした。皆私の前を素通りしてきました。皆解らない問題を私に聞いてくれませんでした。彼に解らない問題を聞いていました。私はずっと一人でした。

これは五年前の話です。 百メートル走で十秒台を出しました。クラスで一番のタイムでした。計ったときに先生が「すごいな、青丹は速いなー」と言って褒めてくれました。私はそれから皆のタイムを聞いていました。けれど私より速い人はいませんでした。クラスには私と同じタイムの人が一人いただけでした。それから教室に戻って、体育祭のリレーの選手を決めることになりました。学年リレーなので選手は各クラス一人でした。皆私を選んではくれませんでした。私はいつ名前が言われるのかと内心落ち着かなかったけれど、そんな心配は余計みたいでした。結局、皆の口から私の名前が呼ばれることはなかったからでした。代わりに彼がリレーの選手になりました。私はずっと一人でした。

これは二年前の話です。 カラオケの採点で満点をだしました。友達が「すごいねー!満点なんてなかなかでないよ!」と言ってくれました。私はにっこり笑ってから、皆の採点結果を見ていました。クラス会なのでクラスのほぼ全員が揃っていました。皆順番に歌っていきました。最後の一人の順番が来ました。彼でした。今のところ満点は私以外に出ていませんでした。彼が歌い終わりました。満点が出ました。皆「わー」と歓声をあげました。私のときよりも凄い歓声でした。その後、文化祭での出し物がバンドに決まりました。ボーカルは私じゃなくて彼でした。私はボーカルになれませんでした。

これは二ヶ月前の話です。 バイト先で最高売上を記録しました。店長が「よくやってくれたね!」と声をかけてくれました。私は「ありがとうございます」と言ってから他の人の売上を見ていきました。皆私よりも下でした。今度こそ…と思ったそのときでした。店長の声が聞こえました。私のときよりも大きい声でした。何があったのかと思って店長の方へ行ってみました。同じ売上を記録した人が出たんだ、と言われました。どうやら彼が同じ売上を出したみたいでした。他の店員も感心していました。私も同じ売上を記録したのに、誰も感心してくれませんでした。

これはつい昨日の話です。 会社で接待先での部下の失敗をフォローしてあげました。契約だってとってきました。皆感心してくれました。部下も「ありがとうございました!」といってくれました。課長にも部長にも褒められました。「明日の接待は君に任せてもいいかな?」と聞かれました。私が自信たっぷりに「ハイ!」と答えようとした時でした。私が助けてあげた部下が走ってきて「先ほどの接待の件ですが、トラブルはフォローしてもらいました。契約もとれました」と部長に言いました。部長は「本当か!」と喜んで、私じゃなく彼に接待を任せました。彼も部下の失敗をフォローした上に契約までとってきたみたいでした。私の接待はなくなりました。




ついさっきの話です。 私の部屋で彼が寛いでいました。私は夕ご飯を作りながら彼の話を聞いていました。彼は凄く楽しそうでした。私は包丁を持ってゆっくりと彼に向かって歩き出しました。彼は後ろを向いているので私には気付きませんでした。暫くして、私からの返事が返ってこないのを疑問に思ったのか、彼が後ろを振り向きました。私はにこりと笑って勢いよく包丁を振り上げました。

振り上げた包丁はキラリと光って、大好きな人の背中へと吸い込まれていきました。




小さい頃から、いつもいつも彼ばっかり。私も彼と同じなのに。皆私を選んではくれない。

いつもいつも、彼ばっかり。私だって負けてないのに。どうして私よりも彼が選らばれるんだろう。




なぜなぜなんで
(私のいけないところって、一体どこなんだろう)



(終わり!)(ネタは良かったけど文がめちゃくちゃだ)

















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