そう言った彼の目からは、また一つ涙が零れた。

馬鹿、そう言われたのは今ので何度目になるだろうか。そうです。あたしは馬鹿ですとも。でもさ、何も泣くことなくない?仕方ないじゃん、馬鹿なんだから。別に、あんたが泣いたところであたしの馬鹿さ加減は治らないんだよ、残念ながら。だからさ、そんなに泣かない方がいいと思うよ、あたしは。ほらほら、そんなに泣いちゃって。あーあ、目ぇ腫れちゃうよ?もう腫れてるけど。泣きやみなよ。あんたに泣いた顔は似合わないよ。ってゆーかあんたの泣いた顔みたくないだけなんだけどね。だって、あたしまで泣きたくなるじゃん?あんたには、ニヤっていう効果音がつきそうな不敵な笑顔が似合ってるよ。よくその笑顔であたしのことからかったよね。もう、一時は本当にどうしてやろうかと思ったけどさ。やっぱあんたにはあの笑顔が一番似合うよ。 …いや、不敵な笑顔とか関係なしに、兎も角あんたには笑顔が似合うよ。あんたの笑顔が大好きだよ。って何いってんだろあたし。…とりあえずさ、泣きやみなよ。泣き止んでよ。ごめんねあたし馬鹿で。あんたが泣いたところでもう手遅れだよ。この馬鹿は治らないんだってば。


「馬鹿。…なに勝手に死んでんだよ、馬鹿が」


あれ、あたしが馬鹿だから泣いてるんじゃなかったんだ。あたしが死んじゃったから泣いてるの?それじゃあ、なお更泣きやみなよ。あんたが泣いたところであたしはもう戻ってこないんだから。完璧な手遅れだよ。



馬鹿と涙



(終わり!)(二次創作で似たようなの書いた…)












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