貴方と二人、手を繋いで笑いながら歩くの。


今朝見た夢だった。綺麗な桜を眺めながら、貴方と二人、笑いながら手を繋いで歩いた夢。幸せだった。いっそ、覚めなければ良かったと思うほどに。

部活の休日練習に向かおうと家を出ると、丁度五メートルくらい先の角から自転車にのった先輩がやってきた。二つ上の、高校生の先輩。私が「おはようございます」と声をかけると、先輩は乗っていた自転車から降りて隣を歩いてくれた。


「今日、部活?」

「そうです」

「休みの日なのに大変だねー」

「本当ですよねー。まぁ好きでやってるんですけど…」

「それでも疲れるもんは疲れるよね」

「そうですね」


私が笑いながら相槌を打つと、先輩は「俺はもうやめたしなー、部活」と言って大きく伸びをした。


「先輩は、」

「ん?」

「今日もデートですか?」


私がそう聞くと、先輩は少し固まってから苦笑い気味に「…ばれたか」と言った。


「なんとなくですけど、そんな気がしただけです」

「俺ってそんなにわかりやすいのかなー?」

「今から彼女さん迎えに行くんですか?」

「そう。たっく、毎回毎回俺が迎え行くんだぜー」


途端に少し不機嫌になった先輩を見ながら、私は口を開いた。


「面倒くさいなら、私に乗り換えません?」

「…冗談上手ぇな、一瞬本気かと思ったよ」


ははは、と先輩は快活に笑って私の肩を叩いた。「ってゆーか絶対彼氏いるでしょ?いいの?怒られちゃうよ。 それに俺も彼女一筋だから」茶目っ気たっぷりに先輩は言う。私はどうしていいかわからなくてきっと変な顔をしていたと思う。「それじゃぁ、俺はもう行くな」自転車に跨った先輩は、そう言ってペダルを踏み込んだ。


私の心に、また一つ真っ黒い染みが出来た。



出来るなら明るい世界で



(終わり!)(当初のネタ)










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